2025/12/19 15:36

近頃、ありがたいことに最低でも月に1回は体育館でバスケをさせてもらえる機会があり、以前に比べて屋内でバッシュを履く頻度が明らかに増えています。学生時代のように頻繁にプレーするわけではないものの、社会人になってから「定期的に体育館でバスケができる環境」があるというのは、思っている以上に貴重なものだと感じます。

その一方で、バスケをする機会自体はそこまで多くないにもかかわらず、なぜか増え続けているのがバッシュの数。気づけばクローゼットには複数足のバッシュが並び、「こんなに必要だっただろうか」と自問自答することもしばしばです。ただ、実際に体育館に足を運び、バッシュの紐を締めてフロアに立つと、その一足一足に違った個性があることを再認識させられます。だからこそ、定期的に屋内でバスケができる今の環境には、純粋にありがたみを感じています。

今回のブログでは、そんな私が最近特に好んで着用しているバッシュの一つ、「EQLZ 247」についてレビューしていこうと思います。

画像:筆者私物

EQLZというブランド、そして247というモデル


EQLZは2018年に中国で誕生したバスケットボールシューズブランドです。比較的新しいブランドではありますが、2024年に同社初となる本格的な競技用バッシュ「247」を発表し、スニーカーファンの間で一気に話題となりました。

その理由の一つが、デザイナーにアーロン・クーパーを起用した点です。彼はかつてNikeに在籍し、1990年代から2000年代にかけて数々の名作バスケットボールシューズを世に送り出してきた、いわば“伝説的デザイナー”の一人。レブロン・ジェームズ初のシグネイチャーモデルであるエアズームジェネレーションをはじめ、エアピッペン2、Shoxスタンナーなど、今なお語り継がれるモデルに関わってきました。

私がEQLZ 247に強く興味を持ったのも、まさに彼がデザインを手がけているという点にあります。かつて数々の名作を生み出してきたデザイナーが、現代のバスケットボールシューズをどのように再構築するのか。その純粋な好奇心が、このシューズを手に取る大きな理由でした。


アッパーの素材と構造


EQLZ 247のアッパーは、今ではやや珍しくなったニット素材とレザーを組み合わせた構成になっています。ニット部分は一様ではなく、部位ごとに編み方が変えられているのが特徴です。

画像:筆者私物。3種類の異なる編み方のニットとレザーの補強パーツのコンビネーションによるアッパー。


足首周りは密度の高いニット素材が使われており、しなやかにフィットしながらも耐久性の高さを感じさせる質感。甲部分は規則的に通気口を設けた編み方になっており、通気性への配慮が見て取れます。つま先や足の側面に向かう箇所では、ニット自体の網目は比較的粗めながら、伸縮性のない密度の高い別素材のニット(黄緑色の部分)と二枚重ねにされており、必要な部分にしっかりとしたサポート性を持たせています。

さらに、アッパーにはレザー素材が踵から爪先まで足の輪郭に沿うように配置されており、全体のサポート性を大きく高めています。特に印象的なのが踵周りの作りです。足首にかけてタイトになるヒールカウンター形状に加え、靴内部にはアキレス腱を挟み込むように二つのパッドが設置されており、非常に良好な踵のホールド感を実現しています。

クッショニングと安定性



クッショニングにはPebaxを用いた素材が足裏全面に張り巡らされています。アウトソールの前足部から見える黄緑色のパーツが、おそらくその素材にあたる部分でしょう。外観上で確認できるミッドソールはアッパーに向かって巻き上がるような形状となっており、横方向の安定性とサポート性を高めています。
画像:筆者私物。付属のインソールは比較的厚手で踵のカップ形状も深めに整形されているため、足裏のフィット感が心地良いです。表面の粒々は滑り止めとして機能しますが、数回の着用でポロポロと剥がれてきます。


さらに、内側・外側の両サイドには立体的に整形された樹脂製のサイドウォールが取り付けられており、これも足ブレを抑える要素の一つです。全体として「安定性」に非常に重きを置いた設計であることが伝わってきます。
画像:筆者私物。両側面に設けられた樹脂製パーツが足の横方向の動きに対してがっしりとサポートしてくれます。


アウトソールとトラクション性能


画像:筆者私物

アウトソールは、サメの表皮を思わせるヒダ状のデザインが全面に施され、足裏の輪郭をなぞるように粘度の高い半透明ラバーが配置されています。先に結論を述べてしまうと、トラクション性能は抜群に良いです。
綺麗にメンテナンスされた屋内コートであれば、ほとんど拭く必要がないほど強力にグリップしてくれます。一つ一つのヒダが柔軟に動き、あらゆる方向の動きに対応してフロアをしっかり捉えてくれるイメージです。


製品としてのクオリティ


製品全体のクオリティは非常に高く、糊のはみ出しはほぼ見当たりません。ニットやその他の素材の質感も上質で、価格帯を考えるとかなり満足度の高い仕上がりだと感じました。同価格帯のバッシュで、ここまで完成度の高いものを見つけるのは簡単ではないのではないでしょうか。

実際に履いてプレーしてみて


実際にEQLZ 247を履いてバスケをしてみて、最も強く感じたのは安定性の高さとフィット感の良さです。前述のサイドウォールや設置面積の広いアウトソールのおかげで、横方向のブレは最小限に抑えられている感覚がありました。

ブーティー形状のニットアッパーは足に心地よくフィットし、靴内部の整形の良さも相まって、靴紐を結ばなくても踵抜けはほぼ感じません。安定感がありながらクッショニングもしっかり衝撃を吸収してくれるため、私のように足腰に不安のある方や、怪我をできるだけ避けたい方には安心して履けるバッシュだと思います。

足裏のフィット感とインソールについて


安定性の話が続いて恐縮ですが、足裏のフィット感も非常に優れています。中敷を外してみると分かるのですが、内側のサイドウォールが土踏まずに沿うような形で整形されており、アーチ部分のサポート性にも配慮された設計です。

その影響か、付属インソールからアーチサポートに特化したインソールに交換してみたところ、土踏まず部分が過剰に盛り上がり、着用時に痛みを感じてしまいました。インソール交換を前提に考えている方は、この点には注意が必要だと思います。
画像:筆者私物。インソールを剥がすとソールとアッパーの縫い合わせ部の土踏まずの箇所が大きくえぐれていることを確認できます。デフォルトの状態でもアーチ部分がしっかりと整形されています。ちなみに私は土踏まずがあまりなく、扁平足気味ではありますが、付属のインソールとの組み合わせで大変心地よく着用できています。


気になった点とサイズ感


マイナス面もいくつか挙げておきます。まず重量は、昨今のバッシュと比べるとやや重めです。また、安定性が強化された設計のため、スピードや軽快さを武器にするプレーヤーにとっては、少し扱いづらく感じる可能性があります。また、、甲部分がニット素材のため、靴紐を強く締めると紐の圧を感じやすい点も気になりました。

サイズ感については縦寸がやや長めに感じられるため、普段よりハーフサイズ下げるのが個人的にはおすすめです。幅はそこまで広くないため、足幅のある方は普段と同じサイズでも問題ないかもしれません。
私の知る限り執筆時点では実店舗での取り扱いがなく、試着ができないのもネガティブポイントかと。トップ選手の着用等によって露出が増えることを願いたいところです。

まとめ


EQLZ 247は、安定性とフィット感を重視した、非常に完成度の高いバスケットボールシューズだと感じました。派手さや軽さを追求するモデルではありませんが、「安心してプレーできる一足」を求めている方には、強くおすすめできるバッシュです。アーロン・クーパーが現代に提示した一つの答えとして、非常に興味深い一足でした。

少ないながら、当店でも競技に耐えうるバッシュを取り扱っています。国内ではあまり見かけないモデルもご用意していますので是非一度ショップページにもお越しください。

最後までお読みいただきありがとうございました。