2025/09/23 22:32

Inefficient Worksです。

今回はここ数年アディダスが力を入れているドイツ製スニーカーのうち、幸運にも入手できたスーパースター ヴィンテージ MiGの着用レビューを行なおうと思います。
画像:Adidas SUPERSTAR VINTAGE MiG(筆者私物)

裾野を広げつつある欧州産アディダス

スニーカー好き、特にヴィンテージスニーカー界隈にて、長らく特別な存在として語り継がれてきたのが「ヨーロッパ製アディダススニーカー」です。かつて欧州で生産されていたアディダスのシューズは、その希少性と品質の高さから愛好家たちの垂涎の的となってきました。しかし数十年前に生産拠点の多くはアジア各国へと移管され、当時のヨーロッパ製アディダスを入手するのは年々難しくなっていました。

そんな中、近年になってアディダスは一部の製品を再びヨーロッパで生産する取り組みをスタートさせます。そして2025年には、ブランドを象徴するモデルの一つである「スーパースター」がドイツ生産(Made in Germany: MiG)で復活。税込44,000円という高額ながら、抽選販売でそのほとんどが完売するという状況が続いています。
では、現行のドイツ製スーパースターはアジア生産のと比べて一体どこが優れているのでしょうか。ここでは私自身が所有する「スーパースター ヴィンテージ MiG」と、アジア生産のSuperStar(7年前に購入したSlamJamとのコラボモデル)を実際に履き比べてレビューしていきます。
画像:画像右側のスーパースター(インドネシア製)と比較をしていきます。(筆者私物)


革質とその使われ方の違い

まず最初に感じたのは「革質の差」です。MiGに使用されているレザーはしっとりと柔らかく、指先で触れた際にそのきめ細かさを実感できます。正直、「見た目は大差ないのでは」と思っていましたが、素材に触れた時点でその違いは明らかでした。
一方で、アジア生産品のSlamJamコラボモデルも当時は優れた革質だと感じていました。しかし、MiGと並べて比較すると「遠く及ばない」というのが率直な感想です。アッパーに使われる革の質感、そして細部の仕上げまで含めて、MiGの方が格段に高い完成度を誇っています。



ライニングとインソールの贅沢な仕様

次に大きな違いを感じたのがライニングとインソールです。アジア生産品ではファブリック素材や合皮が使われることが多い部分ですが、MiGでは全面的にレザーを採用。これにより足全体が靴にしっとりと包み込まれるようなフィット感を体験できます。

実際に履き比べてみると、アジア生産品の方は踵のホールド感がやや緩く、歩行のたびにわずかに踵が浮く感覚がありました。これまで特に不満を覚えることはなかったのですが、MiGを履いた後ではその差がはっきりと意識できるようになりました。
画像:インドネシア製のライニングは履き口を除くとファブリックが張り巡らされています。また、インソールも合成皮革製でした。
画像:MiGは履き口のみならず中足部以降(黒色の箇所)についても本革を張り巡らせており、また、インソールも天然皮革を使用した贅沢な仕様。一方で、タン裏についてはメッシュライニングとなっていました。
画像:ヒールの成型についてもMiGの方がよりシャープな形状となっていました。踵部のホールド感の向上に一役買っているように思えます。

クッショニングと履き心地

履き比べて意外だったのは、クッション性の違いです。正直なところ「伝統的なSuperStarに大きな差はないだろう」と考えていました。しかしMiGはよりソフトで快適な履き心地を提供してくれます。

もちろん、私のアジア生産品は購入から7年が経過しており、経年劣化や履き込みによるクッション性能の低下が影響している可能性もあります。ただ、MiGのインソールやクッショニングには「伝統的な形状を守りながら快適性を高める」という工夫が施されているのではないかと感じました。
画像:ソールの形状も少し差異があり、ステッチをみるとアジア製の方は踵部からつま先側に向かってソールが薄くなっているような印象を受けますが、MiGではそれに比べると緩やかな曲線を描いています。全体的な厚みについても、MiGの方が少しぽってりとした形状をしています。


サイズ感について

サイズは両方とも28cmを履いていますが、特にサイズ変更の必要性は感じませんでした。強いて言うならば、7年前のアジア生産モデルについては少々つま先あたりが細いような気がしており、小指のあたりに少し違和感を感じました。逆に言うと、MiGについてはそのような不快感はなく、快適に着用できました。


まとめ:ドイツ生産SuperStarの価値とは

現行のアディダス スーパースターの中で、ドイツ生産品は間違いなく最高峰の品質を誇るバージョンの一つです。革質やライニングの贅沢さ、そして足を包み込むようなフィット感は、アジア生産品にはない特別な体験を提供してくれます。
価格は確かに高額ですが、ドイツで生まれたブランドが再びその地で生産したスニーカーを履くこと自体に大きな価値を感じる方も多いはずです。実用的な差異は小さくとも、所有する喜びや「オリジナルの地で作られた一足」という背景に惹かれる方にとっては、この上ない選択肢になるでしょう。


当店で取り扱いのあるMiGシリーズ

当店ではAdidasのドイツ製シリーズの製品のひとつである、「ハンドボール スペツィアル MiG」を販売中です。こちらは国内未発売モデルのため、国内での入手は尚更難しく、また、生産数もかなり少ないためご入用の方はお早めにご確認いただくことをお勧めします。最高レベルの品質を体感できる一足を、ぜひお試しください。